小学3年生の冬にバスケットボールクラブに入部した。父が経験者で月に数回最寄りの体育館でバスケットをしていたことや、実家の本棚にスラムダンクやディアボーイズが置いてあったことが影響してか、当時の僕が自分から「バスケをやってみたい」と申し入れたらしい。詳しい動機はあまり覚えていなくて、きっとスポーツやっていたらかっこいいとかそんなところだろう。
クラブに入るにあたり、練習で使う「マイボール」が必要になった。多くのチームメイトが持っていたのはオレンジ色(茶色?)のベーシックなバスケットボールだったのだけれど、僕は他の人と被るのが嫌でトリコロールのバスケットボールを買ってもらった。赤、白、青、白とカラフルに配色されたボールだ。体育館でひときわ目立ち、他チームでも滅多に見かけることのなかったこのボールは、まさに「マイボール」だった。
それ以来、青・白・赤の配色に目を奪われている(ような気がする)。「我が国の国旗がフランスの国旗の配色だったらな……」てほど熱心なトリコロール崇拝者ではないが、青・白・赤のパターンに愛着がある。自分らしさを見出している。
積極的にトリコロールのアイテムを集めているわけではないんだけれど、知らないうちにいくつか集まっていたので、まとめて紹介したい。
バスケットボール
トリコロールカラーであることで実用的になっている面もある。ボールの軌道にブレを生じさせないため、あるいはバックボードに当たったボールがリングに吸い込まれるようにするために、スナップを利かせてボールを放つのが良いとされている。そのため、一般的な単色の8面体のボールより、3色のパネルで形成されたボールの方がバックスピンのかかり具合が認識しやすい。ただ、あくまでも練習用としての立ち位置であるためか、公式ボールよりも若干重い仕様になっている(これは経験則)。
また、NBAで定期的に開催される「3ポイントコンテスト」では、各シュートスポットの最後のボールとしても使われている。

冒頭で取り上げたボール。小学生のバスケットクラブ、いわゆるミニバスでは一般的に使われている7号球ではなく、ふた回り小さい5号球が使われる。リングも低い。この特殊なルールは日本独自のものらしい。
当時、講習会と称してプロ選手やコーチから指導を受けたり、彼らの試合を観戦する機会があった。イベント終了後に選手によるサイン会が開かれ、知らないチームの知らない選手のサインをこのボールに書いてもらった。

こちらは中学生以降に使った7号球。部活では個人のボールを持参して練習することはなかったので、あまり使わなかった。だから先のボールよりも汚れが少ない。
実家の自室に置いてあって、帰省するたびに触っている。ボールのツブツブの感触が無性に恋しくなるときがある。
「ボールの感触を確かめるだけで元気が出ることを発見」
「このツブツブの感触が…ヘヘ」
井上雄彦『リアル 1』93頁、2001年、集英社。

スニーカー
自分の身に付けるモノに興味を持ち出してから買った外履きのスニーカーはぜんぶで5足で、そのうち2足はトリコロールカラーだ。4割。大好きって程じゃないけれどほどほどに好きだよって姿勢。
ひとつは、コルテッツ。もうひとつは、P550だ。

高校2年生の夏に買ってもらった。オリジナルじゃなくてクラシックの方のコルテッツ。ウィメンズなのでシュッとしていて小振り。僕が持っているスニーカーの中でいちばん気に入っている。
トリコロールのコルテッツと言えば『フォレストガンプ』。先にコルテッツを知ってから本作を観たんだけれど、映画に影響されて買ったことにしている。そっちのがかっこいいので。
靴紐を〈GETABACO〉の「CLASSIC COTTON LACES」に付け替えている。コットン100%なのでほどけにくくて機能性も高く、くたっとした質感がコルテッツに合う。

大学2回生の夏に買った。〈Aimè Leon Dore〉と〈New Balance〉とのコラボスニーカー。80年代に〈New Balance〉が販売していたバッシュを復刻・改良した製品だ。インラインでも「BB550」として販売しているみたい。
青というか紺だが、広義に捉えて「青・白・赤のトリコロールカラー」ということにしたい(してほしい)。
Mastered で公開されていたプロモーションビデオに惹かれて購買意欲が高まったという背景がある。
『Aimè Leon Dore / New Balance P550 Basketball Oxford』の新色が4月23日にリリース
Aimè Leon Dore / New Balance P550 Basketball Oxford from Mastered_TV on Vimeo.
シャツ
数着持っているかなと思っていたら、1着しかなかった。ほどほどに好きってわけでもなくて嫌いではないよって姿勢。

大学1回生の頃、リョウマツモト に傾倒していて、いわゆるドメブラの服が欲しかったのだけれど、そこまで高価な服を買う余裕はなかった。そんな中、楽天で〈LITTLEBIG〉のTシャツが中古で販売されていたのを発見して、(古着にしてはそこそこの値段がしたが)エイヤと買った。

おわりに
自分の装いに関心を抱くきっかけのひとつとして「他人とは異なるユニークな自分でありたい」という独自性欲求があると思う。僕らは個性的でありたいし、服を身に纏うことは手っ取り早く個性を表現できる。
僕の記憶している他人と差別化を図る原体験は「トリコロールのバスケットボールを使ったこと」で、それがいまでもささやかに引き継がれている。これからもトリコロールになんとなく惹かれ続けるのだろう。