整髪料へのフラットな雑感

高校を卒業するかしないかの時期まで、整髪料に対してシニカルな態度をとっていた。ワックスで髪を整えるのはたくましい身体で豪快に笑うわんぱくな生徒たちで、僕は彼らと縁がなかった。そもそもワックスで髪を整えるのは校則で禁じられていたし*1、スポーツ刈りだった僕には整えるべき髪がなかった。

大学2年生になったいまでは整髪料というものをずいぶんフラットに扱えている。整髪料はただの整髪料だから。講義を受けるためにキャンパスへ行ったり、パートナーとデートしたりするときはそれなりに髪の毛を整えるし、オンライン授業で一日中家にいる日でもグリースで髪を分けて気分転換をすることもある。整髪料は生活に浸透し、もはやわんぱくの象徴ではなくなった。

自由にいじれる頭はひとつしかないのに、いつのまにか洗面所には4つの整髪料が並んでいた。これはとても愉快なので、これからも増えてゆく気がしている。

ミニーレ

〈hoyu〉ミニーレウイウイデザインクリーム7

高校の卒業旅行として友人とグアムを訪れたことがあるのだけれど、確かそのタイミングで近所のスギ薬局で買った。嗅ぎ覚えのないあまい香りがする(どんな味か気になる)。旅行先で、使い慣れてないくせにしきりに塗りたくっていたから、いまでもこのワックスを使うたびに楽しかった卒業旅行の記憶とグアムの熱風を思い出す。グアムから帰国してすぐに外出が憚られる状況に突入したせいで、それ以降あまり使ってない。

アリミノ

〈ARIMINO men〉フリーズキープグリース

大学1年生の冬に髪全体にパーマをかけたとき、美容師のお兄さんに「いい感じにスタイリングができる」と薦められて買った。粘度の高いグリースでホールド力ばつぐん。やさしい柑橘系の香りがする。わしゃわしゃと髪の毛ひとつひとつに揉みこまないといい感じのパーマが再現できないのが億劫で、いい感じのパーマが再現されることなく、くねくねした髪は切り落された。とはいえ僕の持っている整髪料のなかで最もテリテリツヤツヤしていて、ガッチリ固まるため、デート用として重宝している。言い換えると日常使いには不向き。

チェット

〈CHET〉MICK

大学2年生の夏に髪全体にパーマをかけたとき、美容師のお兄さんに「この場合のパーマにはヘアオイルを使うといい」と言われて買った。奇遇にも、パーマをかけた当日にInstagramのストーリーズにこの製品の広告が流れ、「外観がいい」というたったそれだけの理由でその日のうちに注文した。広告を見てから注文するまでの過程に一切無駄がなく、限りなく正解に近いコンシューマーの動きをしているなとその渦中に考えていた。俺は美しい消費者。グレープフルーツの香りと謳っていて、まさにグレープフルーツの香りがするのだけれど、髪になじませた後にブローするとその酸っぱさが強調されてやさしい胃液みたいな臭いになる。

クールグリース

〈阪本高生堂〉クールグリースG

数か月前に地元へ帰省したとき、近所*2イオンモールで妹の買い物の付き添いをした。彼女が熱心にスキンケア用品や化粧品を選んでいるのが羨ましくなって、誰もが一度は目にしたことがあるであろう水色の安っぽいプラスチックケースを見かけて衝動買いした。チューブ型じゃないのが不便だろうと予想していたのだが、フタを開けて指でニュッと表面をこそぐのは楽しい作業で、さらに取り過ぎたら戻せるので案外便利だった。あーでも、チューブ型じゃないので洗面所で場所をとるから不便かもしれない。みなさんと同様に整髪料も優れたところと欠陥の両方を抱えている。

*1:くだらない校則を容易に従う無抵抗な生徒だった

*2:車で30分くらいかかる