ドライブ・マイ・グランパズ・カー

先月末の平日の昼下がりに映画『ドライブ・マイ・カー』を観てきた。てろてろの開襟シャツに着古したジャケットを羽織り、深い緑のキャップを被る渡利みさきの装いが絵になっていて、俺もあのような格好で広島の街で立つなどしたいと願うばかりだった。家福の仕事が終わるまで彼女が猫背で本を読んで待っているシーンがあったのだけれど、文庫本ってあのポーズで読むためにあるんだと思う。かっこいいシーンだった。残念ながら他のシーンはすべて忘れてしまいました(赤い車がよく走っていた)。

それと『ドライブ・マイ・カー』を観てから(観ている最中から)自動車を運転したくてたまらなくなったので、車を運転する機会を得やすい実家へ帰ることにした。

ドライブ・マイ・グランパズ・カー

帰省してから何度か自動車を運転している。最後にハンドルを握ったのが自動車学校の卒業検定を受けた秋口だったのでおよそ半年ぶりの運転と言えそうだが、自動車学校での運転はノーカンな気がするので、はじめての運転といって差し支えないでしょう。父親とドライブしたり妹とその友だちの送迎をしたりバイトから帰る恋人を迎えに行ったりと充実したカー・ライフを送ることができている。自動車学校に通っていたころは苦痛だった車の運転も、好き勝手運転できるとなると話は別でとても愉快だ。当初の想定をはるかに超えて自動車の運転が楽しくなってきている。

僕が乗っているのはパッとしない紫色のボディーの日産の軽自動車で、実家の隣に住む祖父が近所のコンビニへコーヒーを買いに行くためだけに使われているものだ(祖父を除く家族全員が免許を返納したほうが良いと考えている)。数年間まともに洗車がされていなかったようで車体の汚れはもちろん、内装にコーヒーが飛び散っており、救いようのない汚さだったので、俺が救いました。洗車機で洗ったり掃除機や雑巾でくまなく汚れを落としたら、新車同然とは言わずともなかなかきれいな状態になった。ただ車体のあちこちに祖父によるものと思われる傷が残っており、それについては愛嬌と捉えるほかない。


あわせて10回も自動車の運転したことのない僕に言わせると、運転の面白いところは右左折のときにハンドルをぐにににって回すところです。ハンドル操作が最も運転をしていると実感できる。面白くないのは、速すぎるところです。速ければ速いほど余裕のなさがにじみ出てしまう。今のところ俺は優雅に運転をしたい。あと下り坂も楽しくない。予期せぬスピードが出るうえに風を浴びることができないから。一方で自転車の下り坂は風を浴びることができるから楽しい。他の乗り物は分かりません。

あと10日ほどは実家に滞在しようと考えているので、それまでは自動車での送迎を進んで申し入れ運転を楽しみたい。ゆくゆくは追い抜き・追い越し、パッシング、華麗な駐車(具体的には、助手席に左腕をかけて後方を確認するバックを用いた駐車)など高度な技術を身に付け、安全運転で岐阜県の交通に参加していきたい。