新たな回転を与える

6時半に目が覚めて、7時前に起きた。夜明けの早い夏の醍醐味は紛れもなく朝なので、朝を引き延ばすために6時半を目安に起床していきたい。

洗濯機を回して、散歩がてら近所の公園で本を読むことにした。文庫本を一冊連れてゆく。長らく外に出ていなかったせいか蝉のうるささを忘れていたため来て早々に公園から脱出。北野天満宮境内にあったベンチのなりそこないで菅啓次郎の『本は読めないものだから心配するな』を読み進めた。

人間の生活は消費ではなく生産にあり、それは文の生産もふくまれると語る彼の活力に満ちたテキストに魅了されまくるなか、「物体としての本は風ぐるま、しょっちゅう風にあてて新たな回転を与えてやる必要がある」というフレーズに強く惹きつけられた。これは本の流動性、つまりあらゆる本はその場所に一時的な滞在をしているにすぎず、何かしらの傷跡を残してその場を去ってゆくものだという文脈で描かれた文章なのだが、コンテクストとは別に独立したテキストとしてとても気に入った。本だけじゃなくて僕も風ぐるまなので風をあてて新たな回転を与えられる必要があるし、組織に風通しの良さが求められるのは構成員に新たな回転を与えるため。新たな回転を与える。

洗濯機の回転が止まるので帰宅。昼すぎからやまごえ温水プールへ行くつもりだったが日曜日を察知して延期することにした。学生の夏休みは平日に軸足を置くべき。ターンをして、前から気になっていた堀川通りの中華料理店で昼食をとろうとしたら休業中だったので中止。なにか映画を観に行こうと調べたけどピンとくるものがなく諦めた(もうそろそろアップリンク京都で『14歳の栞』が再上映されるという最高情報を入手しました)。春以来していなかった自転車の点検をしてもらうため、自転車を漕いだ。

フジロックのストリーミング配信で唯一観たいと思っていたBLACK COUNTRY, NEW ROADの演奏を観た。メインボーカルだったアイザック・ウッドの脱退をうけて過去の楽曲を完全に封じ、複数のメンバーにボーカルを割り当てた新曲のみで構成されていましたね。かっこよかった。彼らを観るためだけに苗場へ行きたかったとさえ思った。ガッチリとした体格で気持ちのよい笑顔をするルイス・エヴァンスがセンターでフルートを構える身のこなしに心を奪われ、そんな彼の膝出し短パンスタイルを目前にしていてもたってもいられなくなって、パタゴニア京都へ向かった。10分程度の試着の末、黒のバギーズを購入。バギーズショーツ、ずっと前から欲しかったけれどまさかBCNRに背中を押されるとは思ってもみなかった。

菅啓次郎に勇気づけられ、BCNRにバギーズを買わされ、新たな回転を与えられたことで夏休みが幕を開けた。読書や水泳だけでなく、人と会うことで充実した時間を過ごしていきたい。1か月ほど髪を切っていないので、まず散髪に行く。