手を動かしながら口を動かす

軽作業をともなう業務をこなす必要があったので、昼から半年ぶりくらいにアルバイト先へ出社した。普段チャットツールでやりとりをしている同僚たちと実際に会うときにしか湧き上がらない楽しさがある。2時間くらい手を動かしながらわらわら喋っていたのがすごくいい体験で、(概念としての)高校の文化祭の前みたいな感じで気持ちがよかった。ひとりで作業をするときは音声コンテンツを聴きながら取り組むのだけれど、同僚の話を聴きながら自分ももごもご喋るのはそれよりはるかに楽しい。気が楽というか、無理のない体勢だった。たとえば会議みたいな、話すために用意された場ってかなり不自然なんだと思う*1

春のはじめ、帰省先でアルバイトをしていたら、高校で同じ部活だった同級生たちがプリウスに乗って実家に押し掛けてきた。夜遅くにわざわざ会いに来てくれたのが嬉しくて、みんなにラーメンを奢って、近所の公園でバスケットボールをした。会うのが卒業以来だったのもあって会話がうまく弾んでいなかったのだけれど、そこにバスケットボールとリングを介することで言葉のやりとりも円滑になった。体を動かすことで、口も動くようになる。ボールを回し始めてから「いつものお前に戻ってきたな」とガードだったやつから言われたことをよく覚えている。

通話をしているときに、無意識のうちにブラウザのタブを開けたり閉じたりしてしまうのも似たような体験。手を動かすことで、余分な熱を逃がしている感覚がある。

たとえば自宅へ食事や飲み物を持ち寄って飲み会をするときに、まず初めにかんたんな作業をしながら会話をすることでウォーミングアップになるのではないか。内職のアルバイトとかを実施すれば、フロアを温めることと飲み物代くらいを稼ぐことが同時に達成するかもしれない。とはいえ、それは宅飲みと内職を同時進行でナメているともいえる。手を動かしながら口は動かすのは楽しいということを(あらためて)記録しておきたかっただけ。

*1:もちろん会話してなにかを決定することを目的とする場をきちんと機能させる能力もいる