ゼミ合宿(夜から次の夜まで)

金曜日の夜から土曜日の夜にかけてゼミ合宿が催された。これって合宿って言ってもいいんですか。施設に着いてすぐ風呂、飲み会、寝て、翌朝報告会、みたいな。数日前に先生から今後ゼミ合宿はしないとの通達が出された。いまの学生に宿泊を伴うイベントは合わないのだという。確かにそうかもしれない。先生の気が変わらない限りこれが最後のゼミ合宿になる。

20日金曜日

指定された1本前の電車に乗って新旭駅へ向かった。もっと早く現地に到着して宿泊場所まで歩いたり、駅周辺を物色したりするつもりだったんだけど、アルバイトの片づけるべき作業をしていたら出発するタイミングを逃してしまっていた。それでも他の人よりも30分早く着いたので、駅から歩いてすぐのラーメン屋で夕食を済ませた。高島市にはひょうが降っていた。みんなが来るまで地面にスッと消えていくひょうを見つめていた。

宿泊施設に到着したらもう20時で、部屋に荷物を置いて、入浴、21時から翌日の報告会のためのスライド資料をつくっていた。終わった人から3年生と4年生合同の懇親会、という名の飲み会に参加することになっていた。僕たちのグループは進みが遅くて23時くらいまで作業していたんだけど、しびれを切らした先生がやってきて、資料はいいから飲み会に参加しなさいと別室に連れていかれた。部屋に入るとお酒のにおいが充満していて、酔っ払った学生たちが床にぺたんと座りながらお酒を飲んだりお菓子を食べたりしていて、見ていられなかった。知っている人が酔って言動がおかしくなっているところを見るのはつらくなるし、お酒なんか飲まないで話せたらいいなと思う。

酔っ払っている人が来たので、部屋の中でいちばん大きな声で話したらすごく喜んでもらえたのでよかった。酔っ払っている人は、お酒を飲んでいない人が、お酒を飲んでいる人のような振る舞いをすると楽しくなるらしい。彼はずっと僕に「結婚しよな! 俺と結婚してくれな!」と言い寄ってきた。判断力が鈍っているのだと思う。別の人もやってきて、前からあなたと話してみたかったといろいろ質問してくれたので、一生懸命答えた。彼女もかなり酔っていたので、僕の回答は覚えてないと思う。僕は全部覚えているのにみんな忘れているのはとても寂しいことだと思う。過半数の男の子たちが端の方でスクラムを組んで、好きな女性のタイプ(かなりオブラートに包んで表現した)について語り合って、連帯していた。お酒を飲んで、"腹を割って"、性に関する自己開示をすることで、仲良くなるという幻想に囚われているのではないですか! 高校ぶりにホモソーシャルを間近で体感して、当時あのような舞台に参加していた自分のことを思い出した。性的嗜好について話すとき、男性だけで集まる必要はないし、お酒を飲まないとできないというわけでもないと思う。こうして振り返ってみるとあんまりよくないような感じだけど、普段できない体験をできてよかった。

27時を回るころに床に就いて、隣の部屋からわははと笑い声が聞こえてきたけれど、聞こえないふりをして寝た。

21日土曜日

6時半に同室の人のアラームが鳴って、目が覚めた。彼はコーヒーに一過言がある人で、早起きしておいしいコーヒーを飲もうという算段だったらしい。こだわりがある。こだわりがあるということって。ひっそりシャワーを浴びに行ってもどったら淹れたコーヒーを飲ませてくれた。シャキッとした。RYUTistのナイスポーズを聴きながら外を散歩して朝食の時間を待った。あとNewJeansのDittoも聴いた。昨晩は見えなかった琵琶湖が見えて、それがかなり近くにあるのだということが、地図上ではなく、実感として理解できた。冷え込んでいて、より一層シャキッとした。

午前中に3年生の5グループ、午後から4年生の4グループが発表するという流れで報告会が進んだ。どのグループも1年間研究していて、論文を書いて、それをスライドにまとめている。それなりの時間をかけて作り上げたものを目の当たりにして、どの研究も抱きしめたくなった。それぞれ込められた熱意や捧げられた熱量は違ったとしても、何かをつくりあげるというのはすごいことだと思う。これって研究だけじゃなくて全部にいえますね。わたしたちのと比べるとやはり先輩の研究の水準はそれなりに高くて、これが1年の差なのかと感服した。それはそれとして、俺だったらこうするな、とか考えながら聴けたのもよかった。

ひとり二日酔いで体調を崩したので、先生の自家用車で送迎されるようだったので、(電車代が浮くから)僕も乗せてください、と手を挙げた。先生や乗り合わせた学生たちとよく話せたのでよかった。このゼミは他のゼミの面接に落ちた人たちの受け皿になっているらしい。僕は一次募集で入ったんですけど! あと先生のおすすめの映画(2時間を完全に無駄にする映画が好きらしい)は、『恋はデジャ・ブ』と『危し!伊達六十二万石』なんだって。学生と一緒に観ようねって言ったら、先生がひとりで観たほうが無駄になるのでひとりで観ろと中止させてきた。誰かと観るとそれだけでそういう記憶になる。

追記 2023.01.23

前日の夜深くまではしゃいでいたのもあって、報告会は静まり返っていた。僕も全然寝られなかったけれど、なぜだか眼が冴えていたので、質問とか抱きしめるのとかに集中できてよかった。他のみんなはけっこうウトウトしていたみたい。こういう機会ってなかなかないからもっと盛り上がったり、あるいはブチ上がったりしたほうが楽しいと思う。私たちの研究報告にもひとりからしか質問・意見が寄せられなくてしょげちゃった。とことんしょげてるわけではないけど、「他に質問ないですか?」のターンで物音なし・視線も浴びせられず、だったので「もっと抱きしめてくれ~~~」という気持ちになった。今はもう大丈夫で、次の研究どうしようかな~のフェーズにいます!