パワーが働いている

昨夕の一次面接で大学入学当初のことについて深掘りされ、それからやや動揺し続けている。朝から晩までオンラインで授業を受けていましたと快活に伝えようとしたものの、暗い話をさせてしまってゴメンなさいねと面接官に気を遣わせた。こちらこそゴメンなさいね。でも思い出したくねー。午前中に聴いていた『ベテランちのベテラジ!』で toe について言及されていて、『Sonny Boy』を思い出した。それこそ 2021 年に配信されていたアニメ作品で、芋づる式に動揺ルートへ回帰することになった。コロナ禍の大学生ひいては大学生全般を題材にした作品あるいはそれを想起させる作品って、見たくないんだけどたまに見ちゃう。もうじきコロナ禍の大学生を題材にした『マリリン・トールド・ミー』という小説が出版されるらしい。読みたくないけど読みたい。22 歳の自分から見て 18 歳当時の自分は明るくやっていこうとしていなかったと思う。じゃあ今の自分はどうなんだと言われると十分に明るくやっていようとしていない気がする。だからがんばっていこう! と意思表明をしているが、具体的にどうしていきたいのかは分かりかねています。平日は授業と就活とアルバイトをして、週末は映画を観たり泳いだりしている。

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イヴァン・イリイチ『ジェンダー』岩波書店

イリイチの『ジェンダー』を精読する講義を履修している。イリイチは、産業社会が生産物の消費によって成立していることを前提として、消費者が購入した商品を使用可能な財に転換する労働、すなわち消費行動を「シャドウ・ワーク」と説明しているんだけど、この概念に触れてから、自分がシャドウ・ワークに従事していることに目が離せなくなった。イリイチはこのシャドウ・ワークの主な担い手は女性であると指摘し、いわば「表舞台」としての経済だけでなく、シャドウ・ワークの場においても女性は経済的に差別を受けていると主張している。現在の状況は、性別に限らず人びとは企業に勤めることで生産活動に従事し、シャドウ・ワークに取り組むことで消費活動を奨励されているという点でやや異なるが、女性ひいてはマイノリティの立場にある者が経済的な差別を受けているという点ではあまり変わっていなさそう。

それにしても「シャドウ・ワーク」という言葉にはパワーがある。映画を観て楽しんだり、夕飯の支度をしたりしているとき、脳裏に「シャドウ・ワーク」が浮かぶ。多かれ少なかれ消費社会から抜け出すことのできないやるせなさをますます覚える一方で、産業社会の発展によって僕も恩恵を受けている以上イリイチのように産業社会の衰退を賞揚することはできない。とはいえ、そのような恩恵も合理的に選択されたものというよりは、象徴的な合理性が働いているもののようにも感じられる。果たしておれたちはそれが便利で・有益で・わたしたちの生活をよりよくするから選択しているのでしょうか。わたしたちが主体的に選択しているというよりは、むしろ、何かしらのパワーによって説得させられている気がする。このような象徴的な合理性に基づいて組織的な意思決定がなされることはしばしばありそうだし、これから僕はそれを体感することにもなりそう。


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『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー【ニナ・メンケスの世界】』

アップリンク京都で『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー【ニナ・メンケスの世界】』というドキュメンタリー作品を観てきた。自転車のチェーンが外れたり、上映時刻を 20 分勘違いしていたりしたせいで遅刻した。これまでの映画作品、とりわけハリウッド映画のほとんどは、まなざす主体としての男性と性的客体としての女性という関係を維持してきたことを主張する作品で、その意図的な「男のまなざし」がレイプカルチャーを促しているのだと批判していた。それは真っ当な批判であり、その状況について改めて説明されると、その関係の異常性がよく分かった。

とくに興味深かったのは、映画ではしばしば「最初は性行為を拒んでいた女性が、徐々に男性のアプローチを受け入れ、最後にはその性行為に満足する」という表現がされることだ。よくありますね。このような描写が無意識のうちに「合意形成をとらなくても結局は丸く収まるだろう」という男性主導の楽観主義に陥りかねないのであれば、即座にやめるべき。

ところでこの作品において「まなざす男性」はシスヘテロ男性のことをさしている。まさしく僕はその当事者であり、程度の差はあるにせよ実際僕は女性を性的にまなざすことを欲望している。少し前まではこの事態に耐えることができなかったが、最近は受容できるようになってきた。そのうえでという話だと思う。欲望しているうえで、その問題性を認知し、やめていこうと表明していく必要がある。

また、このような関係は性別に基づくのではなく、支配力に基づくのだとも説明されていて興味深かった。二者関係に限らずさまざまなコミュニケーションは権力やパワーに駆動されていると感じた。これは言いすぎだけど、あらゆるコミュニケーションには明示的にせよ暗黙的にせよパワハラ的な側面があると思う。

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ハーブのポロウと魚

帰宅してから、id:meigu さんの「ハーブのポロウと魚」を作った! 以前レンズ豆のポロウを作ったとき のバスマティライスが残っていたので、タラの切り身とハーブを何種類か買い出して、作ることができました。揚げ焼きをしたホクホクのタラや、外がカリカリで中がねっとりのじゃがいもを楽しむことができた。ハーブのポロウも香りが豊かでとってもおいしかったんだけど、数週間前から鼻炎で嗅覚をやや失っていることを忘れていたので、本来のハーブの香りの高さを楽しむことができなかった。かなり残念。はやく嗅覚戻ってほしい!

meigukhnm.hatenablog.com

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SHIRO の「亜麻ネイル」から新しい色が出るらしくて全部欲しい。欲張らずにいうと、赤とぎらぎらシルバーが欲しい。ここ最近は左手の人差し指だけに銀色のマニキュアを施しているから、指をさしながら文章を読むと文字がシルバーにハイライトされてたのしい🩶

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