まだこのシーンを見ていたいのに

朝起きて彼女とラインしてたら(クリスピー・クリーム・)ドーナツが待っているから布団から出ると告げられ、ずるい。おれもクリスピー・クリーム・ドーナツを食べたいと思った。近所のスーパーにはクリスピー・クリーム・ドーナツの棚があり、該当のドーナツを買うことができる。バーコードのついた薄いビニール袋に包まれていてちょっとまずそうに見える。砂糖で覆われたドーナツのてらてらとした輝きが失われている。それでも、遠く(100 km)離れた恋人と同様のドーナツを食べることができるのは嬉しい。2020 年、スカイプを繋いで一緒に月見バーガーを食べたことを思い出す。外は雨が降っていたので、帰ると靴下の先がやや濡れていた。ドライヤーで乾かす時間が気持ちよかった。

順当に就活が苦しい。週末にガンガン ES を書いて応募するぞと意気込んでいたものの、結局ひとつしか出せなかった。企業の採用サイトを流し見して気づいたら数時間経っているってのを数回繰り返して一日が終わっていく。そもそも勤務地でかなり迷っていて、上京を視野に入れるか、地元(あるいは名古屋)に戻るかどうか決め切れていない。腹をくくることができていないということです。選択肢を増やしておくという意味でもガンガン ES 提出するといいですよね。就活を大ごとに捉えすぎているせいで、就活によってあらゆる選択肢を失っているような気がして苦しい。数か月前に卒論を書いていたおれは今の数倍忙しくしていたがかなり楽しそうにしていて元気があり頑張っていた。もっとがんばっていこう!

ビビで『夜明けのすべて』を観てきた。ふかふかのプレミアスクリーンにどかっと座って上映を待っていたら、隣のブロックに座ってきた親子が直前までポップコーンをさくさく食べながら喋りまくっていて最悪だった。始まってからもさくさくポップコーンを食べながら喋っていて帰れよと思ったが、そのことを忘れるくらい『夜明けのすべて』は素晴らしい作品だった。後半あたりからずっと泣くか涙ぐむかのぐずぐず状態になっちゃって帰れよって思われてたと思う。帰らなくてごめんな。

『夜明けのすべて』では多くを語らずに次の場面へ移り変わることがしばしばあった。海外赴任を伝えられるところとか、転職先に残ることをかつての上司に宣言するところとか。このシーンまだ見ていたいのに、って思いながら別のシーンに飛ぶ。頭の中ではまだ前のシーンが続いていて、重層的な映画体験だと感じた。今目の前で上映されている場面だけじゃなくて、さっき上映されていた場面が脳内でまだ続いているような感じというか。ちょっと言いすぎかも。とにかく「このシーンまだ見てたい」と感じることがずっとあった。普段は上映されてすぐ帰りたくなるんだけど。「この先どうなるんだろう」というストーリーの展開に惹きつけられる作品ではなくて、描かれる人たちの他者とのやりとりとか環境に順応していく様子を見る作品だった。『ケイコ』のときもそうだったんだけど、制作者の意図とか考えてる余地があんまりなかった。あと登場人物がソーシャルメディアに没頭している感じじゃないのもいいね。山添くんはちょっとしてそう。SNS のやりすぎには気をつけよう! 三宅唱、すごい監督!

TOHOシネマズ 二条で『夜明けのすべて』を観た🌅

追記

信じられないことが起きました。

ブログ公開してから彼女からきたライン

おれは今朝ひとりでクリスピー・クリーム・ドーナツをしていたみたいです。