花見から巻き返す

良質なうつわで食べるメシはうまい。半年ほど前から食器への志向が高まり、財布に余裕ができると食器屋を訪れるようになった。食器に求められる最低限の機能は飲食物を支えるだけで、それ以外はすべておまけ。しかし、食器の風合いや重み、色などが食事の品格を引き立てることが大いにある。あるいはカモフラージュしてくれる。適当につくったジャーマンポテトで使用したジャガイモの食感が微妙だったけど食器の風合いでなんとかカバーできた、みたいなことを日々体験している。もちろん食器も食事の一部であり、食べ物や飲み物とは異なり食器は噓をつける。

午前中に食器屋を巡った。巡ったのは五条通りの店と三条通りの店の2軒だけでしたが、巡ったと言ってもいいでしょう。五条通りに面したお店で6寸の粉引皿を購入した。可愛らしいこげ茶色の不揃いな丸模様が描かれており、薄すぎないちょうどよい厚さで扱いやすそうだったので買うことにした。以前から欲しいと思っているストライプ柄のトランクスと同じ値段だったが迷わずカードを切った。なぜなら4月に入ったから。

アルバイト先の同僚に誘ってもらい、昼過ぎから鴨川デルタで花見をした。「鴨川デルタで花見」、なんて美しい・気持ちいい・心地いい・馴染みのない言葉なんだ。今後生きていく中で辛いことや苦しいことがあっても、瞼を閉じると本日の情景が浮かびあがり、あらゆる苦難を乗り越えられるような気がしています。京都に来て初めて花見をすることができたのでとても楽しかった。同僚とはまるっと義務教育分くらい年齢が離れており、参加されたみなさんも同僚と年が近い感じだったので、かなり年下枠に収まることができて気持ちが楽だった。同級生と一緒にいるとそわそわしてしまう(ようになった)から。年上の人に対してはある程度無礼なことをしても許してもらえるだろうという安易な考えになることが多くて、それがとても落ち着く。同僚からやさしい味わいの台湾茶が振る舞われ、さらに落ち着いた。僕も落ち着きのある男性になっていきたい。が、落ち着きすぎている大人はそれはそれでつまらないので、時にはビンタも辞さない、時おり殴りかかってくるような男性にもなっていけたらいい。

昼間から屋外でお酒を飲む経験を初めてした。サントリーから販売されているチューハイ「ほろよい」の桃味とぶどう味の2本を飲んだ。甘くてジュースみたいだったのでその飲みやすさに定評がありお酒が得意ではない人からも支持を得ているのではないでしょうか。次回はもう少しアルコール度数の高いお酒を屋外で飲んでみたい。今夜も医薬品のぶどう酒を飲んでからストレッチをして寝ようと思う。

帰り道、女子大の前で僕と同い年くらいの男性が新入生のみなさんにパンフレットを配っていて(男性は新入生の女性に顔を近づけ過ぎていたけれどあれは迷惑だと思う)、俺もパンフレットを配りたいし配られたいと思った。そこで会話が生まれるので。