京都最北端のプールで泳いで日が暮れるころに帰る(もれなく)

京都府京丹後市網野町にある「あみの屋内温泉プール」は、たぶん京都府で最も北にあるプール施設だ。なぜなら日本海がすぐそばにあるから。そこで泳げば、京都最北端のプールで泳いだとことになると分かってから、「あみの屋内温泉プール」がこの生活の経由地であるような気がしてきた。スピードで達成したほうが自分のためになる。

京都最北端のプールで泳ぎたいという気持ちをないがしろにしない。ワン・ツーのステップで、保持したボールをリリースする企て。

この日の日記はすでに公開したのですが、満足に記録することができなかったので、加筆・修正したエントリーを書くことにしました。ほかのことに時間を割いた方がいい。

二条駅で電車が来るのを待つ

二条駅

前日の晩に京丹後市を訪れることに決めたので、乗るべき電車や旅行先についてまともに調べることもせず家を出た。8時には二条駅に着いたはいいものの、特急券の買い方すらままならなかったため1本列車を逃し、1時間弱待つことになった。遠出をするときはあらかじめ乗る電車を決めていた方がスムーズに事が運ぶのでおすすめです。とはいえ目的はプールで泳ぐことだけだったので、特に大きな問題もなく、SpotifyPodcastを聴くなどして、次の列車の到着を待った。

乗車券と特急券

聴いていたのは、『わたしたちのスリープオーバー』の「“モテ”から考える、“男らしさ”って?」の回。ゲストとともに、自分の感情を言葉にすること、弱い部分・脆い部分を吐露する経験をしてこなかったせいで、それがどういう感情なのか分からなかったり、トピックやテーマが明確でないと雑談することがためらわれたりする男性の抱える問題、女性には悩みを打ち明けることができても男性同士だとそれがうまくいかないことについて語られていた。少し外れるけれど、僕がブログを書くときにテーマをかなり意識していることもそれに関連があるのかもしれない。たとえ求められていなくても、自分を救うために自分の感情を言葉にできるようにしていきたいですね。

あと「片思いをしている女性に振り向いてもらうために、毎朝カフェで資格取得に向けた勉強をしている男性」が紹介されていてすごくめっちゃ分かるな~と思って聴いていた。

open.spotify.com

網野駅から浅茂川温泉「静の里」を目指す

網野駅

きのさき3号、こうのとり3号、丹後あおまつ号と乗り継いで、3時間弱で網野駅に到着した。乗務員の方によれば、網野駅舎はヨットを模して建築されたのだとか。でかくてかっこいいモニュメントに添えられた「あみの」の看板が、シャボン玉の輝きを放っている。もっと近くで見ればよかった。

府道673号線

Googleマップによると、この道をまっすぐ3キロ進めば目的地のプールに辿り着くことができるみたいだったのでずんずん歩いた。自動車はよく通るし、大型のスーパーマーケットやホームセンター、ドラッグストアが立ち並び栄えていたが、歩いている人とはすれ違うことはなかった。暑いから車に乗った方が快適。

北京都ドローンスクール

ひとけのないドローンスクールがあった。ドローンの操縦楽しそうだけれど、実際やってみると全然上手くいかなくてがっかりしそう。この道を歩いているときこれまで聴いたことのなかったシャムキャッツを聴いていた。解散したバンドの音楽を聴くとき、どうしても「これを演奏しているグループはすでに解散してるんだよな」と考えながら聴いてしまう。


30分ほど歩くと、海の気配を感じるようになってきた。コロナ禍でマスク着用が当然になったせいで忘れていたのだけれど、街にはそれぞれ匂いがある。先日はじめてマスクを外して京都の街を歩いたとき、自分の住んでいるところはこんな匂いがしたのかと感動した。網野町はささやかな潮の香りがした。前日雨が降った影響で福田川は濁っていて、雨上がりの匂いもしていた。


これは明らかに海。海を見るのは半年ぶりだろうか。これまで海と関わりのない街で過ごしてきたので、海と対峙すると遠出をしたという気分になる。実際に遠出をしている。

「あみの屋内温泉プール」で1km泳ぐ

浅茂川温泉「静の里」

「あみの屋内温泉プール」は、浅茂川温泉「静の里」という温泉やレストランを備える施設に併設されている。基地みたいでかっこいい。到着してすぐ、プールで泳ぐことにした。俺はこのためにここまでやってきた。

受付

プールのある建物に入ると、受付のカウンターがあっておじいちゃんがちょこんと座っていた。400円を手渡す。水泳キャップはあるかと尋ねられ、あると答えると、奥へ案内された。

プール入口のサイン

25mが7レーン備えられた「あみの屋内温泉プール」。僕が入ったときには、奥のレーンでマンツーマンの水泳教室が開かれていただけだったので、ほぼ貸切状態で利用することができた。普段通っているやまごえ温水プールでは、1レーンを独占して泳げることは滅多にないので嬉しい。泳いでいる途中で、1組の親子や水泳の指導を受けに来た方などが入ってきた。

更衣室入口

半時間ほどで1kmを泳いだ。目的を達成する。行きは平泳ぎ、ターンして帰りはクロールのセットを40回ほど繰り返した。あとはスカーリングでのんびり進んだりもした。

1kmも泳げばへとへとになって帰られなくなるかもと予想していたのだが、帰省時のランニングで体力がついたのか、あっという間に泳ぎ切ることができた。スタミナがついている。走り切ったり泳ぎ切ったりする体力があることは、実際に走ったり泳いだりしないと分からないからおもしろい。自分にスタミナがついたことを実感するととても嬉しい。

八丁浜

泳ぎおえて汗びっしょりのシャツをまた着て、海へ向かった。八丁浜海水浴場は子連れで海水浴を楽しむ人やサーファーなどで賑わっていた。いい波が来るらしい。

ブロック

釣り人も大勢いて、防波堤は釣竿を握る人々でいっぱいだった。僕と同世代くらいのカップルが立ち入り禁止と記された区域へ「いいじゃん、いこー」と、釣り道具を携えてずかずか進んでいっていてすごくよかった。夏をしていた。

草原

八丁浜シーサイドパークという芝生の広がる公園があって、そのベンチから海を眺めた。ウェットスーツでひとりで泳いでいる人がいた。海で泳ぐのはプールで泳ぐのとはまた違った楽しさがあるのだと思う。風が気持ちよかった。汗で濡れていたビーフィーも少しずつ乾いていった。

キリン「メッツ ブラック」

喉が渇いたので、自販機まで歩いた。軽トラから降りてきたおじちゃんと、ピンクの軽自動車に乗ってピンクのトップスを着ていたお姉さんがいたので、彼らがドリンクを買うのを少し待った。俺全然急いでいないですよという顔をしながら付近をウロウロして待った。

100円で売っていた缶コーラを買った。最近飲んだコーラの中でいちばんおいしかった!

西浦福嶋神社

このもっこりした島が西浦福嶋神社らしい。神社っぽさなし。調べるといろいろあるのだと思うが、そのあたりは放棄しました。付近の防波堤に釣り人がたくさんいた。こぶしくらいの大きさのカニが歩いていた。釣り人のものと思われる自転車がサビていた。

海とお肉のバル「かるねーじゅ」でサーロインステーキ丼を食べる

海から戻り、再び浅茂川温泉「静の里」へ。シャワーを浴びてさっぱりして、温泉にゆったり浸かった。小さな子どもや、部活帰りの男子高校生などで賑やかだった。露天風呂で風にあたりながら入浴したのが気持ちよかった。海を眺めながら熱いお湯に浸かっていると変な気分になる。

サーロインステーキ丼とマンゴージュース

16時半にオープンするレストランでかなり遅めの昼食をとった。プールで泳いだり、海を見に行ったりしていたせいで、食事をしている暇がなかった。

スタッフの方が気さくで、僕の装いとか振る舞いを見て妙に思ったらしく「お兄さん、サーフィンの人でも釣りの人でもないですよね……?」と話しかけられた。このレストランに来る若い男性はおおよそサーファーか釣り人なのだとか。たしかに僕はそのどちらにも見えないな。京都最北端のプールで泳いでみたくて来たのだと正直に話したら、お兄さん変わっていますねと言われた。前日に髪を切りに行ったとき、京丹後市のプールへ行きたいと思っていると美容師に伝えたときにも同じことを言われたのを思い出した。こういうのは会話のクッションなのでまともに捉えることもないが、そんなに変わっていないと思う。


これまでは変なことをしてみたいとか、奇をてらったことをやってみたいという動機で何かに取り組んでいたけれど、ここ最近はそのように斜に構えて行動することは少なくなった気がする。奇をてらった行動は、所属しているコミュニティで普通とされることから逸脱することで成立するのだろうけど、ここ数年はそもそもコミュニティに所属していないので、仲間内の視線を意識することがなくなったのだと思う。狙ってしているのではなく、結果として変なことをしているので、根っこからおかしくなっている可能性がある。

食事を提供するタイミングで話しかけられて、そのまま長いこと会話していたので、ぬるくなったサーロインステーキ丼を食べることになった。今思えば、食べながら話せばよかったですね。黙食が身体に染みついています!

浅茂川温泉「静の里」から網野駅へ向かう

浅茂川温泉「静の里」

名残惜しかったが、帰りの電車に間に合わないような気がしたので、網野駅に向かった。夕日に照らされている「静の里」めっちゃかっこいい。

漁港

「かるねーじゅ」のスタッフのお兄さんによると、この港の船のほとんどが釣り船なのだとか。釣りしたことないな~。

網野駅

網野駅に着いて帰りの電車をGoogleマップで調べると、一度乗り換えに失敗するとその日のうちに帰ることができないと判明した。焦っても仕方がないので、自販機に売っていたナタデココ入りのジュースを一気に飲み干して、電車で飲む用の鶴瓶の麦茶を買った。

いえーい

いえーい

ただただ「いえーい」でしかない。

おわりに

無事乗り継ぐことができて、当日のうちに帰宅することができた。もし「静の里」を発つのが30分でも遅れていたら帰ることができなかったと考えると、下調べは入念にした方がいい。とはいえ今後も準備を怠ると思う。いつか痛い目を見る。

「京都最北端のプールで泳ぐ」という目的を達成することができただけでなく、海を眺めたり、温泉に浸かったり、肉を食べたりと充実した日を過ごすことができた。ふっと湧いてきたしたいことに真摯に、というか素早く向き合うことができるようになったのは、かなり大きな変化。こうして大きな言葉で表現しようとするのはあんまり意味がなくて、フッ軽で遊びに行ったら楽しかったねいえーい!というノリに近い。肩の力が抜けたのかも。オーケー。

京都府でいちばん北にあるプールで泳ぎました! いえーい! また楽しいことしたいね~!